4 優香へ

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『優香へ  苦しいか。  我々物書きは、自分が書いた何千万、何億という文字が、一瞬にして光を失い、ただのゴミになる瞬間をよく目撃する。  認められるのは他人の作品ばかりで、他人が自分より先へいってしまうのを、目にしないといけない瞬間も来る。  確かに、苦しいな。  ただ、本当に苦しいのは、それでも、書く事から逃れられないことだ。  泣け、泣け、泣き虫。  泣いて終わったら、また、書け。書き続けろ。それでいい。俺も書く。また話を読ませてくれ。  追伸:物語では色々理屈を捏ねなあかんけど、ほんまは、ひとがひとを助けるのに理由はいらん。  そもそも、人は人を助けられん。  人は勝手に救われる。    気にするな。  お前と過ごした二年間は、まあまあ楽しかった。                               喜一郎』
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