86人が本棚に入れています
本棚に追加
『優香へ
苦しいか。
我々物書きは、自分が書いた何千万、何億という文字が、一瞬にして光を失い、ただのゴミになる瞬間をよく目撃する。
認められるのは他人の作品ばかりで、他人が自分より先へいってしまうのを、目にしないといけない瞬間も来る。
確かに、苦しいな。
ただ、本当に苦しいのは、それでも、書く事から逃れられないことだ。
泣け、泣け、泣き虫。
泣いて終わったら、また、書け。書き続けろ。それでいい。俺も書く。また話を読ませてくれ。
追伸:物語では色々理屈を捏ねなあかんけど、ほんまは、ひとがひとを助けるのに理由はいらん。
そもそも、人は人を助けられん。
人は勝手に救われる。
気にするな。
お前と過ごした二年間は、まあまあ楽しかった。
喜一郎』
最初のコメントを投稿しよう!