K.どこまでもついていく影

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「それってつまり、復縁の兆し?彼女が俺を赦してくれて、あのクソ教授と別れてくれて、近々、チハルと3人で暮らせるかもしれないってことなのかな?」 惑星より巨大な期待を胸に俺が問うと、アンは遠慮のかけらもなく呆れ顔をつくった。 「それはいくらなんでも気が早いと思いますけど。キアーラの話によれば、サムライと教授はとても上手くいっているみたいですし」 アンは教授の妹のキアーラと仲が良い。時々一緒に野球を観に行ったり、買い物をしたりしているらしい。限界まで膨らんだ期待が急速にしぼみ、俺は椅子の背に深くもたれて天井を仰いだ。それを見てアンはうっとりとしたため息をついて小さく笑った。いけない、また変態の心をくすぐってしまった。 「これもあくまでタイラー探偵事務所の見解ですけど。サムライはあなたのことを、少なくとも、どうでもいいとは思ってないってことですよ」 「それって、俺、喜んでいいの?」 「さあ?多少はいいんじゃないですか?」
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