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現世に戻ると、由梨は俺の死を嘆き悲しんでいた。
戻ってきてよかった。
側で、由梨を見守っていこう。
俺はそう決意した。
やっぱり、君の隣は俺の居場所だ。
それから、由梨を観察する日々が始まった。
トイレ、お風呂には憑いていかない。
着替えの時は目を瞑る。
俺は幽霊としてエチケットはしっかり守ろうと思った。
しかしどうしたって俺も男だ。
ベッドに投げ出された由梨の足についつい目がいってしまう事もあった。
一人の時の由梨は、とても無防備だった。
当然だ。誰だって、一人の時はくつろぐものだ。
まさか幽霊に見られているなんて思わない。
ごろん、と転がった由梨の胸元がちらりと見えて、俺は動いてない心臓の辺りがきゅっとなった。
こんなにも君が側にいるのに、触れられない。
だけど、これが俺の選んだ道だ。
俺は改めて、由梨を見守ろうと思った。
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