149人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に繋がる廊下は白を基調とした柱が立ち並び、柱と柱にの間には頑丈なガラス窓が組み込まれていた。汚れの無い窓の外側の景色は手厚く手入れをされた草花が咲き誇り、さながら楽園を思わせるような様相だ。
滅多に敷地外に出ない大司聖の為を思い、職員達は毎日欠かさず花を咲かせているのだろう。
部屋に繋がる廊下ですらピカピカに磨かれていて、歩行も躊躇しそうになる位艶やかなのだから。
長い廊下の先にある大扉の前に立ち、オーギュは軽く深呼吸をした。
…なかなか顔を見ない相手に若干緊張してくる。
初顔合わせでは無いものの、やはり自分よりかなり高い立場の人なので無礼の無いようにしなければならない。
一息吐いた後、彼は落ち着いて眼前の分厚い扉をノックする。厚みのある扉なので高齢の大司聖の耳にしっかり伝わるか不安だったが、しばらく間を置いた後でどうぞと嗄れた返事が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!