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ずっと止まない雨
こういうときに限って、どうしてにわか雨なんて――。
さっきまではキレイに見えていたはずの景色は雨粒に遮られて、ただでさえ霞がかかっていたのに、もはや悪夢のような光景に変わってしまった。
そんなことを思ったって、別にバチなんて当たらないはずだ。
傘なんて持っていない。
上に着るようなものもない。
鬱屈としそうな気持ちを染み込ませるようなじっとりとした雨が、いつも以上に憎らしく思えた。
マンガとかお話とかフィクションめいた世界でも見たことがあるし、友達の話でも聞いたことはあった。
その気持ちが揺らぎ始めて歪み始めるのも、またひとつの『きっかけ』だ――、と。
仕方ないと割り切るには、もしかしなくても互いにコドモだったのだろう。
どちらかに用事があったりして会える日がずれるごとに、あるいは会う時間が短くなるごとに。
口には出さなくても、不満は自然とただただ静かに、ダムにゆっくりと雨水が溜まっていくように。
それがゆっくりと放流されることもなく、あっけなく決壊したのが今日だった。
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