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いきなり何を言い出すのか。
自分でも言ってる意味を分かってないんじゃないのか?
「ダメに決まってるでしょ!」
『なんで?』
「櫂は別に親と仲悪いとかじゃないし、そもそも家を出たいなんて思ってないでしょ?しかも、私と一緒に住むとか……」
『叶絵と一緒だと俺は嬉しい』
この人、本当に人をその気にさせるの上手い。
自分は私の事何とも思ってないくせに、私にはそうやってもっと好きにさせるんだから。
そんな酷い話、ある?
「ダメなものはダメ。絶対櫂の親だってそう言う」
『じゃあ俺が親に話して許可貰ったら一緒に住めるって事?』
「は?いや、そういうわけじゃ……」
『許可出たら叶絵の住んでるとこ言えよ』
「なんで……」
『俺も住むからに決まってんだろ』
そう言うと一方的に電話が切れた。
なんでそうなる。
私を1人にしないって約束を守ってくれるのは凄く嬉しい。
でも私はこれ以上3人を巻き込みたくない。
3人には幸せになってもらいたい。
私はスマホをギュッと握り締めて買い物を再開した。
大丈夫。
絶対櫂の親は認めたりしない。
昔から私と面識があっても、高校生でルームシェアとか出来るわけないって思うだろうし。
そんな事を考えていると今度は莉乃から電話がかかってきた。
「……何?」
『なんで!?』
「何が」
『一人暮らしなんて!!なんで私に何も言ってくれなかったの!?』
「言ったら反対するか一緒に住むって言うかのどっちかでしょ。私は家から出たかったから一人暮らししたいって思っただけだし、莉乃は違うでしょ?」
『私は叶絵と一緒にいたいの!!叶絵が家に居ないの寂しいもん!!』
「学校では会えるじゃん」
『違うの!!ずっと一緒にいたいの!!』
なんか恋人同士みたいな事を言われている気分。
めちゃくちゃ怒ってるけど、こればかりは譲れない。
私はため息をついた。
「莉乃は私とは違う」
『何も違わないもん!!』
「優等生ないい子でしょ?」
『いい子じゃないもん!!』
「本当に?テストでいつも上位取ってて、しかも学校でも優等生で、先生の自慢の子だったのに?」
『そ、そんな事ないもん!私、悪い子だもん!』
「じゃあ私みたいに授業サボった事ある?」
『サボる!?ダメだよ!!』
「遅刻した事は?」
『ちゃんと早寝早起きしないとダメ!!』
「はい、その考えが優等生」
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