34人が本棚に入れています
本棚に追加
私を生み出した世界を私は呪った。
こんな世界、壊れてしまえばいいのにって。
お父さんの遺影の前で毎日のように私は縋った。
『お父さん……私を、置いて行かないで……っ』
毎日苦しくて、泣きたくないのに自然に涙が出て。
そしたら皆が私の事を抱き締めてくれた。
『大丈夫だよ、絶対に一人にしないから』
『私、絶対に叶絵を離さないから!』
『絶対に、置いて行かない』
優しいその言葉を私は疑った。
皆は本当に私の側にいてくれたのに。
皆が諦めないでくれたから今がある。
世界を呪うのを辞められた。
波音と萌音と麻里奈と友達になって、永草くんや福永くんとも仲良くなって。
あの時、逃げようとして良かったなんて。
__________________________……
次の日。
熱は下がっていた。
ホッとすると櫂に抱き締められた。
「大丈夫?」
「うん」
「まだ病み上がりだから無理すんなよ。今日は家でゆっくりしよう」
莉乃と郁人が私が食べられそうなもので朝ごはんを作ってくれる。
私は一口食べてから皆を見た。
「ありがとう」
「いいんだよ、叶絵が元気になったなら」
郁人が私を見てそう言う。
「朝ごはんもだけど、そうじゃなくて……。ずっと約束を守ってくれてありがとう。私の事一人にしないでくれて嬉しかった」
「どうしたの?突然」
莉乃が驚いたようにそう言う。
私は笑った。
「夢を見たんだ。小さい時の夢。今までずっとそれが悪夢だって思ってたけど、そうじゃないって気が付いた。私、ずっと皆に守られてたんだーって思うとありがたさが浮かんで。だからお礼」
「お礼なんて言わなくていい」
櫂が私の頭を撫でる。
「俺達がそうしたいからしただけ。それに、叶絵だって俺達の事助けてくれたじゃん。何度も俺達は叶絵にも、おじさんにも助けられたから。好きな子を助けたいって思うのは自然なことじゃない?」
櫂の言葉に赤くなると莉乃と郁人が笑った。
こうして4人で居られることに感謝しないといけない。
私はこれからもこの人達を守っていきたい。
ずっと一緒に居たい。
私達はずっと一緒に遊んでた。
いつだって傍に居て、いつだって支えあって。
この世界が、何より大切で愛おしかった。
だから守り続ける。
お父さん、もう私は一人じゃないよ。
今では大切で大好きなこの世界。
これは、私と大好きな幼馴染達の幸せの物語___________
~END~
・
最初のコメントを投稿しよう!