冬のはじまり

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私を生み出した世界を私は呪った。 こんな世界、壊れてしまえばいいのにって。 お父さんの遺影の前で毎日のように私は縋った。 『お父さん……私を、置いて行かないで……っ』 毎日苦しくて、泣きたくないのに自然に涙が出て。 そしたら皆が私の事を抱き締めてくれた。 『大丈夫だよ、絶対に一人にしないから』 『私、絶対に叶絵を離さないから!』 『絶対に、置いて行かない』 優しいその言葉を私は疑った。 皆は本当に私の側にいてくれたのに。 皆が諦めないでくれたから今がある。 世界を呪うのを辞められた。 波音と萌音と麻里奈と友達になって、永草くんや福永くんとも仲良くなって。 あの時、逃げようとして良かったなんて。 __________________________…… 次の日。 熱は下がっていた。 ホッとすると櫂に抱き締められた。 「大丈夫?」 「うん」 「まだ病み上がりだから無理すんなよ。今日は家でゆっくりしよう」 莉乃と郁人が私が食べられそうなもので朝ごはんを作ってくれる。 私は一口食べてから皆を見た。 「ありがとう」 「いいんだよ、叶絵が元気になったなら」 郁人が私を見てそう言う。 「朝ごはんもだけど、そうじゃなくて……。ずっと約束を守ってくれてありがとう。私の事一人にしないでくれて嬉しかった」 「どうしたの?突然」 莉乃が驚いたようにそう言う。 私は笑った。 「夢を見たんだ。小さい時の夢。今までずっとそれが悪夢だって思ってたけど、そうじゃないって気が付いた。私、ずっと皆に守られてたんだーって思うとありがたさが浮かんで。だからお礼」 「お礼なんて言わなくていい」 櫂が私の頭を撫でる。 「俺達がそうしたいからしただけ。それに、叶絵だって俺達の事助けてくれたじゃん。何度も俺達は叶絵にも、おじさんにも助けられたから。好きな子を助けたいって思うのは自然なことじゃない?」 櫂の言葉に赤くなると莉乃と郁人が笑った。 こうして4人で居られることに感謝しないといけない。 私はこれからもこの人達を守っていきたい。 ずっと一緒に居たい。 私達はずっと一緒に遊んでた。 いつだって傍に居て、いつだって支えあって。 この世界が、何より大切で愛おしかった。 だから守り続ける。 お父さん、もう私は一人じゃないよ。 今では大切で大好きなこの世界。 これは、私と大好きな幼馴染達の幸せの物語___________ ~END~ ・
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