優等生と劣等生

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よくあるパターンで納得した。 慌てる莉乃とは対照的に眠そうにして机にうなだれている櫂。 それから私に口を開いた。 「なんで二人、来たの?」 「友達が一組で人だかり出来てるの私達に関係ないかって聞いてくれたの。中学の時もあったし、何となく二人が関係してるように思ったから」 「ふーん」 「興味ないなら聞かないで」 ため息をつくと櫂に手を掴まれた。 「俺は叶絵と一緒が良かった」 そう言われて一瞬息をするのを忘れる。 櫂のこの発言に深い意味はない。 ただ、幼馴染の中で一番気が楽だと言いたいんだろう。 莉乃の場合、こうして男子が勝手に争いを始める事もある。 それに巻き込まれるのが面倒だと言いたいんだろう。 本当に、言葉足らず。 私は櫂の手から自分の手を抜いて息をついた。 「友達、出来たの?」 「一応」 「だったらその友達と、莉乃と一緒の班になったら?莉乃と別れる方が不安でしょ?」 「確かに……。莉乃一人にしてたら無駄な争いが増える……」 「ちょっと櫂!?私を争いを生む火種みたいに言わないで!!」 「実際そうじゃん。今だって、莉乃がいろんな人から誘われるがままに返事してたからこうなった」 「うっ……」 手をもじもじさせながら俯く莉乃。 そんな莉乃を励ますように郁人が困ったように笑いながら背中を撫でた。 「莉乃は?友達、出来たの?」 私がそう聞くと莉乃は嬉しそうに頷いた。 「うん!そうなの!教室に入った時に話しかけてくれて、明るくていい子なの!叶絵にも紹介……」 「別にいいから。莉乃はその子と一緒の班の方がいいでしょ?だったらもう決まり。適当に6人班でも作りなよ」 「なんで6人って分かったの!?叶絵凄い!!」 「大体の行事、それくらいの人数でしょうが。早く終結させないと、櫂の睡眠時間削る事になるよ。そうなった時の櫂、超不機嫌なの知ってるでしょ?」 そう言うと莉乃がハッとしたように櫂を見た。 「は、早く決める!!」 そう言って争っている中に飛び込んでいく莉乃。 私はため息をついた。 「それじゃあ、私達戻る」 「おつかれ」 「櫂も手伝ってあげて。それじゃあね」 櫂と莉乃に手を振って教室に戻る。 それと同時に先生もやって来た。 「何だか一組の方が騒がしいな……」 「もうすぐ終結しますので大丈夫です」 私がそう言うと先生が首を傾げてから頷いた。 ・
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