優等生と劣等生

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二人の爆笑に首を傾げる郁人。 私は息をついた。 それからクラスでは順調に班が決まっていた。 永草くんと萌音も自分の席に戻り、郁人と波音と福永くんが話しているのを何となく聞きながら窓の外を眺める。 中学とは違う景色。 当たり前だけど、本当に自分が高校生になったんだと思った。 初日の高校生活も終わり、下校時間となる。 波音と萌音に手を振って教室で別れ、私と郁人は櫂と莉乃を待つために下駄箱に向かった。 「そうだ、叶絵」 「何?」 「僕たち、叶絵に謝らないといけないかもしれないんだ」 「は?」 「まだはっきりとは言えないんだけど、もしその状況になったら怒らずにちゃんと話聞いてね」 ニコニコしながら何を言い出すのか。 ため息をつきながら私は小さく頷く。 どうせ大したことないんだろう。 怒らないで、って言うときは大抵私を助けてくれようとしてる時だもん。 幼馴染って、変な関係だな。 郁人と話していると櫂と莉乃がやって来た。 「眠い……」 櫂は開口一発そう言って私にうなだれてきた。 一応櫂は私の好きな人だし、こんな事されたらドキドキして固まってしまうというもの。 櫂の黒髪、いつ見てもフワフワしてるな。 それからいつもいい匂い。 こんなに好きなのに絶対に叶わない。 叶えてはいけない。 私のいる世界に櫂を巻き込みたくない。 「櫂、こんな場所でもたれかからないで。皆見てるから」 「嫌だ、動きたくない」 「動いてくれないと私が動けない」 「叶絵」 「何?」 「変な男に絡まれたりしなかった?」 そう聞かれて固まる。 私の心配をしてる? どうして私? 「絡まれるわけないでしょ。私に絡む人なんて変人くらいしかいない」 「お前、いつまでそんな事言ってんの?」 「は?」 「いい加減自分が死ぬほど美人って事、自覚しろよ」 櫂に『美人』と言われることがこんなにも嬉しい。 他の誰に言われても何も感じないのに、櫂に言われると嬉しくて泣きたくなる。 だってそれって、櫂は私を『美人』だって言ってくれてるって事でしょ? ・
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