優等生と劣等生

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私達はずっと一緒に遊んでた。 いつだって傍に居て、いつだって支えあって。 この世界が、何より大切で愛おしかった。 それなのに…… 今ではもう、壊れてしまえばいいと思ってしまう……そんな世界に変わってしまった。 ___________________________…… 「だから!!私をアンタの思うような人形にしようとするなって言ってんの!!」 「叶絵(かなえ)!!お父さんになんて事言ってるの!!」 「うるさいな!!こんな人、私のお父さんじゃない!!お母さんは黙ってて!!」 「叶絵!!」 学校から帰って来るなりこうして喧嘩をしている毎日。 二年前から父親になった人と私の考えはいつだって交わらない。 この人とは小さいときからそうだった。 この人だけは大嫌いだった。 たとえそれが大切な幼馴染の父親だとしても。 自分の部屋に入って思いっきりドアを閉める。 こんな世界、大嫌い。 机の引き出しから一枚の写真を取り出す。 小さいときの私と、『本当の父親』が笑顔で写っている写真だ。 「お父さん……」 私のやる事をいつだって否定せず肯定してくれていた大好きだったお父さん。 この人はもうこの世にいない。 10年前。 まだ私が5歳だった時に交通事故で他界した。 高齢者ドライバーが道路を逆走してきて、父は避けきれずにそのまま……。 どうして私からお父さんを奪ったのか。 この世界が憎い。 そればかりか、二年前に母が再婚した相手がよりにもよってアイツだなんて。 『ほーら、叶絵。笑顔はどうした?笑ってないといい事がどんどん逃げていくぞ!はい、笑ってー!!うん!可愛い!』 「無理だよ……お父さん……っ」 泣きたくなる気持ちを抑えて写真を机にしまう。 すると部屋の扉がノックされた。 「……だれ?」 「私だよ、莉乃(りの)」 その名前を聞いてため息をつく。 それから私は扉を開けて招き入れた。 入ってきたのはまるで人形のように白い肌をした美少女。 彼女は私の幼馴染で、『私の姉』。 再婚相手の連れ子だ。 二年前から幼馴染から姉妹になった。 莉乃はフワフワの髪の毛をなびかせながら笑顔で私にゲーム機を見せた。 「昨日のリベンジ!今日こそは負けないからね」 一台のゲーム機を私に差し出して対戦ゲームを起動しようとするマイペースな莉乃にため息をつく。 さっきの喧嘩、絶対に聞こえてたはずなのに。 ・
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