オリエンテーション

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私がそう言うと二人がキョトンとした。 「こんなの日常茶飯事だし。自慢したいだけなら別にいいよ。私なんかで自慢になるかは別として。莉乃の事紹介しろとか言ってこないだけマシ」 ため息をついて男の子達を見ると男の子達もポカンとしていた。 「どうする?意図は分かってるけど、それでもいいなら交換する?絶対に莉乃の事は紹介しないし、合コンとかも行かない。遊びに誘われても行かないし、むしろ返事返さないけど」 私がそう言うと男の子達が気まずそうに去って行った。 私は手に持ったスマホをポケットに仕舞った。 「二人ともありがとう。助けてくれようとして」 「かなちん強すぎ」 「ウケる」 爆笑の二人。 郁人は心配そうに私の側に来た。 「大丈夫?叶絵、ああいうの苦手でしょ?」 「大丈夫。皆の事を守れるなら苦手な事にだって立ち向かう」 「無理しないでね」 「ありがとう、郁人」 郁人に笑いかけると郁人も笑った。 「でも交換しなくて良かった」 「え?」 「だって、叶絵が交換してたら絶対に櫂 怒ってたよ?」 「なんで?」 「だって櫂だもん」 意味が分からない。 私が別に何をしようと勝手だ。 櫂に怒られる筋合いない。 首を傾げていると福永くんが手にキノコを持ってやって来た。 「見て!キノコ生えてた!」 「朔夜それ食べてー」 「さっくん食べてー」 「二人して朔夜の事殺さない」 波音と萌音を止める永草くん。 福永くんは驚いていた。 「え?これ食べれないの?」 「死んでもいいなら食べたら?」 「凛が冷たい!!」 爆笑する波音と萌音。 郁人も楽しそうだった。 私はこの学校に来て良かったと思ってるけど、郁人達にとってはどうだろう。 もっと別の場所があったはずだ。 優等生で、何でも出来るんだから。 きっと謝っても『何の事?』って言うんだろうな。 「茅ヶ崎さん」 また知らない男の子達。 私はため息をついた。 「何?」 「俺達と友達になってよ」 「いいけど、私誘われても遊ばないけどいい?」 「冷たい事言わないでよ」 こういうタイプ本当に苦手。 相手が話している内容を聞き流していると急に腕を掴まれた。 え……。 「とりあえずさ、俺達めっちゃ話したかったんだけど話す機会なかったわけだし、こっちで話そうよ」 「なんで?」 「いや、俺ら人が多いの苦手でさ」 絶対に嘘だ。 ついて行ったら何をされるかわかったもんじゃない。 困っていると急に後ろから引き離された。 ・
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