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ちょっと待って。
ここら辺の川の深さって……。
ばしゃんと音を立てて萌音が川に落ちる。
周りが騒ぎ出す。
気が付けば私は萌音を助けるために川に飛び込んでいた。
「叶絵!?」
郁人の声が聞こえる。
そして私は萌音の腕を掴んだ。
「萌音!!」
息継ぎをするために萌音を引っ張り上げる。
萌音は勢いよく咳をした。
「かな、ちん……」
「大丈夫!?無理して話さなくていいから、ちょっとだけ頑張って」
萌音を引っ張った状態で川から上がる。
郁人達が私達に駆け寄って来た。
「二人とも無事!?」
波音が私と萌音の前に座り込む。
私は頷いた。
「かなちん、ありがとう……」
「私はいいから。萌音は?痛いところとかない?」
「平気……」
泣きそうな顔で首を左右に振る萌音。
私は息をついてから立ち上がった。
それから萌音を突き飛ばした女の子を見た。
「あのさ」
「!!」
「言いがかりで私の友達、殺そうとしないでよ」
「べ、別に殺そうとしたわけじゃ……」
「結果助かっただけで、もしかしたら萌音は死んじゃってたかもしれない。死ななくても怪我はしていたかも。感情的になって人の未来を奪うなんて、そんなの許されることじゃない」
「し、仕方ないでしょ!そいつが悪いんだから!」
「自分の彼氏が萌音を好きになっただけ。でも萌音には何の感情もない。勝手にあんたが怒ってるだけで、別に萌音があんたの彼氏を奪った事にならない。勝手な言いがかりをつけられて迷惑する人の気持ち、わからない?」
そう言って私は萌音に手を差し出した。
周りの子はひそひそと何かを言いながら女の子を見ている。
それに耐えられなくなった女の子は私達の前から逃げるようにいなくなった。
「本当に迷惑な話だよねー。萌音全然悪くないじゃん」
波音が怒りながら萌音の髪の毛をタオルで拭いている。
郁人も困ったように笑った。
「女って怖い……」
「朔夜が言うとものすごく滑稽」
「凛!?」
永草くんはニコニコしながら福永くんを見ている。
私はため息をついた。
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