オリエンテーション

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「今日だって叶絵、変なのに絡まれてたし。自分の事下に見る癖直してくれない限り僕は叶絵の『大丈夫』を信用しません」 「郁人……」 困った顔で郁人を見ると郁人は私から顔を背けた。 完全に拗ねている……。 「……分かったよ。じゃあ一緒に買い物付き合って」 「もちろん!」 嬉しそうな郁人。 私はため息をついた。 郁人と二人でスーパーに買い物に行く。 周りの人は郁人をチラッとだけ見て過ぎ去って行った。 本当に人目を引く容姿してるよな。 絵本から出てきた王子様みたいな郁人。 小学校でも中学校でも郁人はモテモテだった。 高校でもきっと告白とかされるんだろうな。 「叶絵!しいたけが安いよ!」 「郁人って本当にしいたけ好きだよね」 「美味しいじゃん」 「美味しいけどさ、私はしいたけにそこまで魅力を感じない。ていうか別に安くないし。だいたいこれくらいの値段だし」 「え?安くないの?」 「別に安くなくても買えばいいじゃん。郁人が食べたいならさ」 「いいの?」 「いいに決まってる。変な遠慮とかなし」 私がそう言うと郁人は嬉しそうにした。 それから郁人のスマホが鳴った。 スマホを確認すると郁人は苦笑いをした。 「どうしたの?」 「ううん。ちょっと櫂が不機嫌なラインしてきたから」 「櫂?なんで?」 「僕と叶絵が二人で買い物行ってる事に不満があるんだと思うよ」 本当に櫂って郁人大好きだな。 呆れたようにため息をつくと郁人は笑った。 「叶絵は愛されてるよね」 「郁人のが愛されてるでしょ」 「え?ちょっと待って。もしかして櫂が僕を好きだとでも思ってる?」 「え?そうでしょ?」 「なんでそんな気持ち悪い発想にたどり着くの?」 郁人が頭を抱えてため息をつく。 なんでそんな反応されないといけないの。 「叶絵は櫂が好きでしょ?」 「!?」 「それなら素直に『自分の事、櫂も好きかも』って思えばいいのに」 「そ、そんな事……っ」 思えるわけない。 あの気だるげイケメンが私を好きになる? 絶対にない。 「まぁいいや。櫂と莉乃もこっち来るって。皆で一緒に帰ろ」 「3人が一緒に歩いてたら周りの人にめちゃくちゃ見られるから一緒に歩きたくない」 「そんな悲しい事言わないでよ」 ・
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