放課後

2/17

30人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
入学してから早いものでもう一か月が経った。 クラスの皆ともだいぶ打ち解けて、今では皆仲良しだ。 「叶絵ー」 波音が私の机に手を振りながらやって来る。 さっきまで違う子と話していたけど、何かあったんだろうか。 「どうしたの?」 「あのね、さっき聞いた話しなんだけど、今度の土曜に一緒に遊びに行かないかなって思って」 「え?」 「期間限定で近くに丸ごとフルーツを使ったパフェの専門店が出るんだって。行きたいんだけど、萌音には断られてさ。叶絵、そういうの興味なさそうだなとは思ったんだけど」 波音が両手を合わせてお願いしてくる。 確かにそういうの興味ない。 でも波音が行きたがってるし……。 「別にいいよ。特に予定もないし」 「ほんと!?ありがとー!!」 波音に抱き着かれていると郁人が不思議そうにしながら隣にやって来た。 「何してるの?」 「叶絵が一緒に遊んでくれるって言ってくれて嬉しくて」 「波音が行きたがってる店に行く約束しただけ」 「波音ちゃんが?」 「パフェ食べに行くんだー。あ、そうだ。郁人くんも一緒にどう?」 「え?」 波音から突然誘われて驚く郁人。 それから首を傾げた。 「それ、僕も行ってもいいの?そういうのって女の子だけで行きたいものじゃ……」 「郁人くんが一緒に来てくれるなら、永草くんあたり誘ってもいいかもだし。せっかくだし皆で遊ぼうよ」 波音の提案で突然永草くんも呼ばれる。 状況を説明すると永草くんは微笑みながら頷いた。 「俺はいいよ。甘いの嫌いじゃないし」 「じゃあけってーい!郁人くんも大丈夫?」 「僕もいいよ」 「やった!イケメン二人と一緒に遊びに行けるとか超優越ー」 ウキウキしている波音が可愛くて少し笑ってしまう。 私は郁人と顔を合わせて笑った。 チャイムが鳴って授業が始まる。 なんとなく外を見てみると莉乃のクラスが体育をしていた。 あ、莉乃だ。 莉乃の隣にいるショートカットの可愛い女の子。 莉乃と仲良さそうに話していて、周りの子とも楽しそうにしている。 あの子が莉乃の言っていた『海梨ちゃん』かな。 いかにも人気者って感じで、なんだか私とは別世界の人みたい。 そんな事を考えながら黒板に目を移す。 頭の中に莉乃の言葉が浮かんでくる。 『櫂の事も手懐けたんだよ』 あの子は、櫂とも仲良しなんだ。 そう考えると少しだけモヤっとしたものが広がった。 ・
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加