放課後

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朝。 目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまった。 スマホで時刻を確認すれば、まだ朝4時。 もう一度寝ようにも完全に目は冴えてしまった。 布団を蹴り飛ばしている莉乃を起こさないようにこっそりベッドから出てリビングへ行く。 薄暗い部屋の中で電気もつけず、テーブルの椅子に座ると私はスマホを開いた。 一翔からメッセージきてる。 開くと、内容は親戚の事だった。 お母さんは兄弟が多い。 一翔のお母さんであるおばさんはお母さんの一つ上のお姉さんだ。 お母さんは8人兄弟の末っ子だと聞いた。 だから私にも叔父や叔母が7人いるわけで。 当然お母さんは可愛がられていた末っ子で。 お父さんが亡くなる前は私も可愛がってくれていた。 だけど、お父さんが事故で亡くなってからは私は誹謗中傷の対象になっていた。 『あの子は呪われた子だ』 『あの子のせいで正則(まさのり)さんは死んだの』 『私達の可愛い妹を苦しめているのはあの子だ』 『再婚相手にも不幸な事起こすんじゃないか?』 『また家族をダメにするだろう。お前たちも近づくな』 『がさつで、頭の悪い、女の子の欠片もない、呪われた子供』 『周りを不幸にすることしか出来ない、出来損ないの悪魔』 思い出すだけで吐き気がする。 私を誹謗中傷してくる人達の中で、一翔のお母さんと一翔だけは私の事を決して悪くは言わなかった。 沢山の従兄弟たちに暴力を振るわれている私を助けてくれたり、ただ一緒にいてくれたり。 『お前のせいじゃない』 その言葉に何度も救われた。 だから私も一翔の力になれることは何でもしてあげたい。 そうは思ってるけど……。 一翔は初めて莉乃に会った時から莉乃が好きだ。 でも莉乃は郁人が好きで、そして郁人も莉乃が好きで。 大事な従兄弟と、大事な幼馴染。 なんで莉乃はあんなに可愛く生まれてきてしまったんだろう。 そんな事を考えてから頭を左右に振った。 今はそんな事どうでもいい。 一翔から送られて来たメッセージに目を移す。 どうやら親戚連中がまた私の事で騒いでいるらしい。 さっさと私を親族から追い出そうとしているそうだ。 今の父親に言えば簡単にされるだろうな。 別に追い出されても悲しくもない。 ただ、お母さんがお母さんでなくなる事は凄く嫌だけど。 ……私がお父さんを殺したわけじゃないのに。 そう言っても誰も聞いてくれない。 怒りの矛先を向ける相手が欲しかったところに、都合よく私がいたから標的になったんだ。 悲しいとか、もうどうでもいいよ。 私は一翔に返事をしてテーブルにうなだれた。 ・
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