放課後

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学校までの道のりを4人で歩く。 莉乃は欠伸をしながら目をこすっている。 「どうして朝なんかこの世界にあるんだろう……」 「ずっと夜なのも嫌でしょ」 「夜でいいー……」 莉乃はそう言いながらため息をついた。 そして通学路で友達を見つけたのか顔が明るくなった。 「あ!海梨ちゃん!」 その名前にビクッとする。 名前を呼ばれた女の子は私達を振り向いた。 「あ、莉乃。おはよう。それから西村(にしむら)くん」 櫂の名前を普通に呼んだ事にドキッとしてしまう。 櫂は私のじゃない。 だから、嫉妬なんておこがましい。 「本当に4人仲良しだねー。それに眩しいくらい綺麗」 女の子は私を見てニコッと笑った。 「はじめまして、道宮(みちみや)海梨です。莉乃から色々聞いてるよ。近くで見るとホント美人さんだね」 「あ、えっと……」 「あ、大丈夫。莉乃から聞いてる。叶絵ちゃんだよね。それから岸谷郁人くん」 「あ……」 「叶絵ちゃんや岸谷くんとも友達になれたらいいなって思ってたんだ。これから仲良くしてね」 道宮さんはそう言って人懐っこい笑みを向けた。 嫌味が一切ない。 本当に心からいい人だって思える。 こんな子が莉乃の友達になってくれたんだ。 凄く嬉しいのに、どうしてだろう。 胸の奥がモヤモヤして気持ち悪い。 そう思いながら目を背ける。 すると、クラスメイトの女の子が知らない人に突き飛ばされていた。 クラスでも地味な感じの女の子。 どうしてこの学校に来たのか分からないし、クラスでも友達といる様子もない。 一人でただ椅子に座ってる子。 クラスの中でいじめみたいなものは無いけど、外ではあるようだ。 私は女の子に近づいて、女の子の前にいる人達の手を掴んだ。 「何してんの?」 私がそう聞くと女の子も男の子も私を見て驚いていた。 私は手を離すとクラスメイトの女の子に手を差し出した。 「大丈夫?小関(こせき)さん」 そう聞くと小関さんは涙目で私を見上げた。 「茅ヶ崎さん……」 「どっか怪我した?平気?立てる?」 小関さんは頷くと私の手を取って立ち上がった。 .
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