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「一緒に学校行こう」
「え?」
「どうせ行く場所は同じなんだし。こいつらほっておいていいでしょ」
そう言って無視して歩こうとすると私の腕を掴む人。
小関さんをいじめている女の子だ。
「何勝手に行こうとしてるわけ?あんたさ、ちょっと美人で有名になったからって調子のんなよ」
「は?別に有名になったわけじゃないし。私の容姿見て勝手に騒いでんのそっちじゃん。調子のってるように見えるなら眼科行けば?」
そう言い返すと後ろから笑い声が聞こえた。
「ちょっとかなちん、朝から何面白い事言ってるの?」
「萌音」
萌音が爆笑しながら近づいてくる。
周りの目が私達を見ている事に気が付いた女の子達は気まずくなったのかサッサと学校へ歩き出した。
「何か人だかり出来てるなーって思って来たらかなちんいるんだもん、ビックリした。でも注目もされるか」
「なんで?」
「だって、受験の日から騒がれてた4人がここに居るんだもん」
萌音の言葉にため息をつく。
それから小関さんを見た。
「あれ?まりりん、どうしたの?」
「まりりん?」
「うん。小関麻里奈ちゃんだから『まりりん』。同じ中学だったんだー」
「そうなの?」
「うん。まりりん超頭いいんだよ。でも、りんりんのファンだからこの学校来たんだよね」
「そ、相馬さん!」
真っ赤になって慌てる小関さん。
永草くんの事が好きなんだ。
そう思っていると莉乃が私の制服を引っ張った。
「莉乃?」
「なんか、ずるい」
「なにが」
「私も話にまぜてー!」
何故かむくれている莉乃に呆れていると萌音が頷いた。
「せっかくだし、皆で学校行こうよ」
萌音の提案で私達は一緒に学校へ向かった。
莉乃と道宮さん、それから櫂とわかれて教室に行く。
萌音はすでに来ていた波音に小関さんの事を話していた。
「小関さん大丈夫だったの?」
「あ、ありがとうございます。心配してくださって。茅ヶ崎さんが助けてくれたので平気です」
「叶絵は何もされなかった?」
「萌音がタイミングよく来て周りの人達の目に耐えられなくなった相手が勝手に去って行ったから何もされてない」
「叶絵は強いねー」
波音は小関さんを見ると微笑んだ。
「小関さんさ、これから私らと一緒にいよう」
「え!?」
「朝みたいな事があったら大変だし、小関さんがよければだけど」
「い、いいんですか!?」
「うん。萌音とも知り合いなんだし、気を遣うことでもないでしょ」
波音の言葉に嬉しそうな小関さん。
私は窓の外を眺めた。
今日もいつもと変わらない時間が流れるんだな。
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