夏休み

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水野さんは私に色々教えてくれた。 掃除の仕方、コーヒーの作り方。 周りの人も教えてくれて、バイト初日から苦労する事は無かった。 「そういえば、叶絵ちゃんって凛の友達なんだよね?あいつ、ちゃんと周りと上手くやれてる?結構な自由人でしょ?」 「大丈夫、永草くんは人気あるよ」 「見た目だけなら王子なんだけどなー。あのフワフワ男子、何考えてんのかさっぱり分からない」 「そこがいいんじゃないの?ていうか、水野さんは同じバンド仲間なんでしょ?」 「そうだよー。私、一応ボーカルなの」 「綺麗な声してるもんね」 「やだなぁー、照れるぞ、おい」 水野さんは私の腕を軽く叩くと『あ』と言った。 「そうだ!叶絵ちゃん、良かったら今度のライブ来てよ。友達になった記念に招待!」 水野さんが私にチケットを渡してくれる。 それから得意気に笑った。 「私達、結構人気あるんだよー。叶絵ちゃんもファンになってくれてもいいんだよ?」 「とっくの昔にファンになってるつもりだったんだけど」 「もしかして動画とか見てくれたの!?」 「うん」 「超嬉しい!」 飛び跳ねてる水野さん。 私は手の中にあるチケットを見つめた。 本当は麻里奈とかに行かせてあげたいけど、水野さんがくれたのに誰かに渡すのは失礼だよね。 私はポケットにチケットを仕舞った。 それから滞りなく初日を終えた。 「今日も働いたー!叶絵ちゃん、明日もよろしくねー!」 「うん、よろしく」 水野さんと話しながら店を出る。 すると郁人が店の外にいた。 「郁人?」 郁人は私を見るとヒラヒラと手を振った。 「叶絵が心配で迎えに来たよ」 「過保護か」 「そりゃ心配にもなるよ。変な男に絡まれ体質の叶絵なんだよ?」 「そんな不幸体質になった覚えない」 郁人とそんな事を言い合っていると水野さんがハッとして郁人に口を開いた。 .
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