夏休み

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次の日のバイト終わり。 私は桜に連れて行かれてライブハウスに来ていた。 前に貰ったチケットを使って中に入る。 沢山の人が今か今かと待ちわびている。 ウェルカムドリンクを受け取って一番後ろで息をつく。 こういう場所って初めて来たからどうしたらいいのか分からないな。 周りの人はそれぞれに違うバンド名が書かれたTシャツやタオルを持っている。 その中に永草くん達のバンドの物を持っている人も。 何となくスマホを取り出してディスプレイを見ると桜からメッセージがきていた。 ライブが終わったら楽屋に来て? スタッフに話はしていると書いている。 私が行ってもいいのだろうか。 そうは思ったけど私は『分かった』と打った。 それからしばらくしてライブが始まった。 知らないバンドが次々と出てくるけど、周りの人は皆の事を知っているのか一緒に歌っていたり飛び跳ねていたりしていた。 会場が一気に熱気で包まれる。 ボーっとしながら見つめていると、最後に永草くん達が出てきた。 今までとは違うくらいに歓声が上がる。 思わずびくっとして周りを見渡す。 それからステージに目を戻すと永草くんと目が合った気がした。 そして謎に微笑まれたような……。 それを見て周りの女の子達が更に黄色い歓声を上げていた。 本当に人気だな。 「ラストー!全力で私らについてこーい!!」 桜の声に皆が大声を上げる。 大きな音が鳴り響き、桜の綺麗な声が会場を包んでる。 それにしても、バンドメンバー美形だな。 永草くんはもちろんだけど、桜も可愛いし、ドラムの人も、ベースの人も。 これは人気になる。 それにずっと人間観察してたから何となく分かったけど、音楽関係の仕事してる人が数名いる。 もしかしたら永草くん達はメジャーデビューするんじゃないだろうか。 そうだったら楽しそうだな。 そう思いながら私は桜の声を聞いていた。 ライブが終わって私は楽屋へ向かった。 扉をノックすると桜が出てきた。 「叶絵ちゃん!来てくれてありがとう!」 「招待してくれてありがとう」 「入って!メンバー紹介したいから!」 そう言われて中に入れられる。 すると永草くんが私を見て微笑んだ。 「楽しかった?」 「うん。初めてライブとか生で見たけど迫力あっていいね」 「そうでしょ。また来てよ」 「今度は麻里奈も一緒に連れてくるよ」 「それは嬉しいな」 永草くんと麻里奈が今どうなってるのか聞きたいけど永草くんの雰囲気から聞けるような感じではない。 この間麻里奈から『永草くんをどうやって遊びに誘えばいいか』とラインがきたけど、誘えたのかは謎だ。 ・
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