夏休み

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「……別に、私が行かなくても問題ないでしょ」 「そんな事ないよ!だって叶絵のお母さんの実家だよ?おばあちゃんとかおじいちゃんだって叶絵に会いたいと……」 「そんなわけない」 莉乃が全て言い終わる前に言い切る。 私は『呪われた子』なんだって、そう言ったのはあの家の人間だ。 私を消そうとしているのは紛れもないあの人達だ。 どれだけ私があの家に苦しめられたか莉乃は知らない。 私は莉乃が作ってくれたご飯を平らげて食器を流しに持って行った。 「ごめんね、莉乃。ちょっと考えさせて」 「叶絵……」 「本当にごめんね」 そう言って私は部屋に行った。 ベッドに横になって息をつく。 ああ……嫌な思い出ばかりが浮かんでくる。 痛まないはずなのにお腹をさする。 それからとても気持ち悪くなった。 _________________________…… 約束していた火曜日になって私達は一緒に出掛けた。 大型のショッピングモールは人で賑わっていた。 あの日からずっとグルグル何かが胸の奥に渦巻いていて気持ち悪い。 だけど皆に心配をかけたくなくて、私は気づかないふりをした。 「色々行きたい場所多いー。どこから行く?」 わくわくしている莉乃。 今日一日もつかな……。 そんな不安に駆られていると櫂に手を掴まれた。 「莉乃と一緒だと疲れるから、とりあえず俺と叶絵別行動していい?映画見る時間になったら合流するから」 櫂がそう言うと莉乃が郁人を見た。 「え?じゃあ、今日は郁人一人占めできる……?」 「心の声駄々洩れだぞ、莉乃」 呆れる櫂。 それから私の手を引いて歩き出した。 なんで……。 「か、櫂……」 「最近体調悪いだろ」 「!?」 「今日だって不安そうな顔してた。本当はマンション出る前に止めようと思ったけど叶絵が何も言わないって事は俺達に気を使ってるって事だと思ったから。それに莉乃も郁人も楽しみにしてただろ?そういうの、壊したくないって叶絵なら思うから」 なんで櫂には分かってしまうんだろう。 私がしんどくないようにゆっくり歩いてくれるし、人があまりいない場所を選んでくれる。 櫂は私をベンチに座らせるとレモネードを買って来てくれた。 「ありがとう……」 「ちょっと気分まし?」 「うん」 櫂は優しく笑ってくれると隣に座った。 「ごめんね、せっかく皆で来たのに」 「別に。郁人も莉乃も、二人の方がいいだろ」 櫂は気づいてるんだろうか。 二人がお互いを好きだって。 たなぼただけど、櫂と二人で居られて嬉しい…なんて。 そう思いながら私はレモネードを飲んだ。 ・
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