優等生と劣等生

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「僕も大人しく座ってたよ。いつ先生来るのかなって待ってたら、『もう帰っていいぞ』って言われて驚いたよ」 「俺寝てた」 「相変わらずド天然な郁人とマイペースな櫂。そのブレない姿勢いいよ」 「何目線だ」 4人で並んで駅まで歩く。 莉乃と郁人が話しているのを聞きながらボーッと外を眺める。 来月からここの生徒なんだ。 莉乃達まで巻き込んで、何してんだろ私。 そんな事を考えながらゆっくり目をつぶった。 家に帰って、いつものように喧嘩して。 そして夜中に私は荷物を持って家を出た。 玄関で靴を履いているとお母さんが2階から降りてきた。 「いつでも連絡してくれていいからね」 「ありがとう」 「行ってらっしゃい」 「行ってきます」 お母さんに笑いかけて家を出る。 そして私は一翔のおばさんに借りたマンションへ向かった。 学校から近いし、電車乗らなくていいし。 おばさんとお母さんに感謝しないとな。 マンションに着くと私は荷物を下ろして窓の外を見た。 「いい景色……」 ここはとても静かだ。 嫌な奴はどこにも居ない。 まだ何もない部屋に座って空を眺める。 優等生になれれば良かった。 そうしたら3人を巻き込まずに済んだ。 いつから私はこんな悪い子になったんだろう。 そんな事を考えながら私はそのまま床に横になった。 明日から買い物行かないとな。 _______________________………… 買い物をしている最中に櫂から電話がかかってきた。 出るとものすごく不機嫌な声を発された。 『どういう事?』 「何が?」 『莉乃から聞いた。一人暮らしって何?』 「あの家から出たかったから」 『俺たちが何のために……』 「櫂?」 『誰がお前を1人にするかよ』 櫂の言葉にドキッとする。 こんなに好きでも叶わない。 櫂と付き合えるなんて1ミリも思ってない。 櫂は皆の王子様だから。 「私は1人でも大丈夫だから」 『場所は?』 「ねぇ、聞いて」 『俺も一緒に住む』 「は!?」 .
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