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夏休みも終わり、今日から新学期が始まる。
前々から派手な見た目の人が多かったけど、夏休みが明けてからは更に多くなった気がする。
「おはよう!叶絵!郁人くん!」
元気に挨拶して私と郁人の前にやって来る波音。
それから笑顔で萌音も近づいてきた。
「夏休みどうだった?何か面白い事とかあった?」
「特に何も。バイトで忙しかったし」
「叶絵、高校生活でバイト三昧なのはどうかと思う。私達女子高生だよ?もっとキラキラした、学生でしか出来ない事したいとか思わない?」
「なんで?」
「なんでって何」
波音が呆れたようにため息をつく。
すると麻里奈が私達の側にやって来た。
「おはよう。どうしたの?波音ちゃん」
「聞いてよ麻里奈。叶絵ってば青春の『せ』の字も無い夏休み過ごしてるんだよ?女子高生って気持ちが少ないと思う」
「叶絵ちゃんらしくていいと思うけど……」
困ったように微笑む麻里奈。
萌音はスマホを見ながら口を開いた。
「ねぇねぇ!それよりこれ見て!」
「何?この学校のホームページ?」
「かなちん、ここをよーっく見て!」
萌音にスマホの画面を指さされてじっくり見る。
そこには『恋が芽生える体育祭』と書いてあった。
なんでも、これまでの体育祭では多くのカップルが誕生しているらしい。
種目が基本的に男女混合のものが多く、他の学校ではあり得ないような名前の種目などもあるからだそうだ。
「体育祭は学年もクラスも混ぜこぜでチーム編成されるんだって。だからクラスメイトともバラバラになるけど、他のクラスの子とも仲良くなれるチャンスなんだよね。普段話せない先輩とかともお近づきになれるし」
「萌音、彼氏いるよね?」
「彼氏とイケメンは違うでしょ?目の保養というか、ファン?」
「彼氏可哀想」
女子高生って怖い……。
それにしても、学年もクラスも混ぜこぜか。
……櫂と同じチームになれたら嬉しいな。
もし違うチームだったらどうしよう。
櫂は人気者だし、先輩とかからもお呼び出しされているのを知っている。
私の彼氏になってくれたんだって、夏休みの間は怖いくらい分かったけど。
夏休み中に櫂にされた数々の事を思い出して顔が赤くなる。
そ、そりゃ私が莉乃達に隠したいって言ったけど。
あんな、隠れてキスしたり……抱き締めてきたり……っ。
萌音、彼氏とイケメンは一緒です。
そろそろ莉乃と郁人には話さないととは思ってるけど、タイミングが無いんだよな……。
そう思ってため息をつく。
「今日にチームが決まるらしいから楽しみだよね」
ウキウキしている萌音。
波音も一緒にワクワクしていた。
そんな中、麻里奈だけが浮かない顔をしていた。
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