妄想推理~伊門探偵事務所

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伊門冬は、小説家と警察へ事件のアドバイスをしていたが、一つの連載を終えて本格的に探偵活動をしようと事務所を設立した。 伊門冬が、小説家としての作品は「家」と言うタイトルの小説で少しだけ知名度があがってしばらく忙しくしていた。 しかし、伊門が得意な妄想で推理していくのを刑事の金村光が目をつけて無償のアドバイザーにならせた。 伊門の推理は変わっていて、自分だったらこんなトリックで犯罪を犯すと妄想をしていき解決する。当たるときもあれば当たらないときもあった。 そうした、暇潰しをしていて小説も書いてついに自分で探偵になったのだ。 探偵事務所は、一応繁華街にあるが、事務所の回りは消費者金融だらけの立地だったので二ヶ月たってもまだ、依頼がこなかった。 当分は、小説で稼いだ貯金でなんとか繋いでいくしかなかった。 でも、伊門にとっては、一緒に付いてきてもらった、お手伝いの成田紅が淹れてくれるコーヒーさえ飲めれば良かった。 成田紅も文句一つも言わずに温かく見守っていた。 相変わらす伊門は、3階建てのビルから外を黙って見つめていた。 成田がそっとコーヒーを机に置く。 年中白いマフラーをしていてその柔らかな部分から口を出して無言でコーヒーを飲む。 その時だった。 「おはよう!暇してそうだな。」と事務所のドアが開いた。 立っていたのは、顔が長くて背が高くて声がでかい、刑事の金村光が久しぶりに来たのだった。 また、事件を持ってきたとお手伝いの成田紅が予感した。 金村光は、すぐに事務所のソファーに腰を掛けて足を組み 「成田のコーヒーが飲みたいな~」と機嫌良くお願いすると 「分かりました」と優しい口調で返事をする。 金村は声を張り上げて 「いやね!俺も少し偉くなったのよ。 で、自由がきくようになってな、前みたいに走らなくてもいい立場になったのよ。それで、忙しそうで暇な時間を過ごしてようやくお前らの様子を見にこれたのよ。 」 と一人で話す。 さらに、 「伊門よ、みたところお客が来てないみたいだけど大丈夫か? 」と聞く それを聞いた成田が 「まだ、始まったばかりなので……」と答えながら金村の前にコーヒーを置く。 それをみて手を挙げて礼をする。 金村はコーヒーをすすりながら 「でさ、実は仕事を持ってきたんだよ。 勿論、タダでやってくれよ。 警察からの正式な依頼でないからな。 やるか? 」と伊門冬に聞くとしばらく黙ってから 「うん……」と小さい返事をした。 それを聞いた、金村と成田が顔を見合わせて笑った。 金村光は、咳払いをして事件の内容を話し始めようとしたとき、事務所のドアが開いた。 そこには、小太りで目が異常な二重で七三分けの出版社に勤めていて伊門の担当の木田が立っていた。 「おはようございます! 先生、成田さん。 」と元気に挨拶をする。 刑事の金村をチラッと見て 「おや? 久しぶりですね。暇な刑事さん。 」と少し嬉しそうに言う。 金村が何かを言う前に、お手伝いの成田が 「木田さんは、原稿を取りに? 」と聞くと 「イエス‼️ 」と元気に返事をする。 木田は、又しても金村を見て 「で、刑事さんは何しに? また、事件を先生に押し付けようとも? はぁー また、邪魔しにきたのですか? 」と短くて太い毛が生えた人さし指で、自分の体をトントンやる。 金村は、 「まぁ、そんなところだ。 俺も偉くなったからな、時間が増えたわけよ。」とコーヒーをすすって言う。 木田は鼻穴を広げて 「五流が四流になっただけですよね。 」と小馬鹿にして言う。 それを聞いた金村は、無視して 「伊門、事件話していいか? 」と聞くと 伊門が返事をする前に、木田が 「ちょっと待って、アナタが先生の邪魔をすると先生が執筆の時間が無くなるので、今回は私がお受けいたします。解決してみせます。私、最近推理小説を書くのを始めまして、まぁ、出版社の人間ならそろそろ書かないとと思いましてね。で、私に話してもらいますか? 」と腰に手を当てて言うと、刑事の金村は諦めて「フウー」と息をはいた。 「じゃあ、聞いてくれるか? 」と感情なく言うと木田は 「勿の論です」と二重をさらに二重にした。
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