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不思議そうにセイジがレイに尋ねた。俺もかなり不思議だった。なぜこんな誰も来ない田舎の森の中に一隻だけ宇宙船が置かれているのか。俺たち三人は納得の行く結論が出せなかった。
俺たちは船体の真下までたどり着いた。よく見ると船体のあちらこちらにサビができていて、だいぶ傷んでるようだった。つまり、この船は誰かが使わなくなったから不法投棄した物なのだろうと俺は考えた。
俺とセイジが船体を見回している一方で、レイは何かを探しているようだった。彼は隈なく船体を覗いている。
すると、何かを見つけたようで喜んだ表情を浮かべた後、手招きして俺とセイジを呼び出した。俺たちはレイの方へと着く。彼は船体に取り付けられている何かの装置類を指さした。
「見て。これで船内に入れる」
「入るって、おいマジか」
「これで何かあったらどうするんだ? 」
「良いから、良いから」
俺とセイジはレイを制止する。だが、それも虚しくレイは楽しげにスイッチを押した。そして、船は大きな装置が動く音を鳴らし、同時に煙を吐き出しながら、出入り用のスロープを展開した。
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