5.なるべく目立つな(敏也)

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「ああ、だけど、お前に一つだけ知らせておかなければならない朗報がある。女神からの伝言だ」 「女神さまの?」 「そうだ。あの女神からだ」  敏也は居住まいを正して、丁重に頷く。 「もし使命を果たせたなら、一つだけ願いを叶えてやると!」 「僕の願いを?」 「そうだ。だから、鍵を集める最中、その願いのこともじっくりと考えておくんだな。それこそ使命さえ果たし終えたら、この世界で私利私欲に走るのも悪くないんじゃないか?」  博雅鬼は意地悪な笑みを浮かべ、冗談とも取れないようなことを言う。 「そんな、私利私欲にだなんて……」  だけど、一つだけ願いをか……。  果てしない使命を全うした時、自分は何を望むのだろうか?  博雅鬼の顔を見遣る。  それは共に旅をする彼とのことかもしれない。  漠然とした未来のことなのに、それを確信した。
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