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「ああ、だけど、お前に一つだけ知らせておかなければならない朗報がある。女神からの伝言だ」
「女神さまの?」
「そうだ。あの女神からだ」
敏也は居住まいを正して、丁重に頷く。
「もし使命を果たせたなら、一つだけ願いを叶えてやると!」
「僕の願いを?」
「そうだ。だから、鍵を集める最中、その願いのこともじっくりと考えておくんだな。それこそ使命さえ果たし終えたら、この世界で私利私欲に走るのも悪くないんじゃないか?」
博雅鬼は意地悪な笑みを浮かべ、冗談とも取れないようなことを言う。
「そんな、私利私欲にだなんて……」
だけど、一つだけ願いをか……。
果てしない使命を全うした時、自分は何を望むのだろうか?
博雅鬼の顔を見遣る。
それは共に旅をする彼とのことかもしれない。
漠然とした未来のことなのに、それを確信した。
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