200人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな恥ずかしくも不本意な死に方をした敏也に、女神はあっけらかんと言い放った。
「あなたはあのまま大人しく犯られておくべきでした。いや、その予定だったのよ。本当に、もうっ!!」
「えっ…、でも……」
「でもじゃないわよ。それで良かったのよ。だって、はじめは嫌よ嫌よであっても、紆余曲折の末、あなたはあの男に末永~~く愛されて、幸せな人生送るはずだったのよ。それなのに”窮鼠猫を嚙む”とばかりに珍しく抵抗なんて試みるから、予定外にこんなことになるのよ。全く~~~~っ!!」
プンスカと憤りを露にする女神に、言葉を失う。
「それでも、私は鬼じゃないわ。というか、神よ、神! すごいでしょ。だ~か~ら、予定外に死んでしまったあなたを救わなければいけないのよ! ……ということにでもしておこうかしら、ごにょごにょごにょ…」
言葉を濁す女神に、不審感を抱く。
(今、なんだって? 「ちょうど1,2名、ていの良い魂が欲しかったところなのよ」と言ったか?)
女神は良からぬ顔で敏也の転生後と思しきステータスを脇目もふらずカスタマイズしている。
「だから、あなたにはある世界に転生してもらうんだけど、1つ願いも聞いてあげるし、つけうる限りの神のご加護だって与えてあげる。で、何が望み?」
突然、そんなことを言われても急には思い浮かばない。けれども、前世で苦い経験をした敏也には少しの考える時間があれば十分だった。
「じゃ、これでお願いします。今度こそ人に嫌われ苛められなくても済むように、誰にでも愛されるような人望を」
「分かった。種族はヒューマノイド希望で、愛され上手のご加護ね♪」
少しニュアンスが違う気もしたが、きっと大した問題ではないだろう。
「顔は……、十分美形だから、特に弄らなくても良さそうね。そんで、年齢もちょうど良いと……。ほんじゃ、見た目はこのままで! で、さっきあなたがウダウダと考えている間に使えそうなスキルをあれこれと足しておいたから、あっちの世界に行ったら役に立ってもらうわよ~~~」
「えっ…、役に?」
「あっ、それはこちらの話だったわ。気にしなくても良いから。というか、聞かなかったことにしておいてくれる? そんじゃ、まっ、頑張って。いってらっしゃ~~~い」
女神ははぐらかすかのように、大慌てで敏也を異世界へと放り込んでしまった。
まだ何も詳しい説明を受けていないというのに。
最初のコメントを投稿しよう!