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そういう悠真は今日は別行動で、どうしても買いたいものがあるからと街に出かけている。
戻ってきたら、いつでもパーティができるように、食べ物や飾り付けを整えておきたい。
その辺はスペシャリストな魔獣たちの腕の見せどころで、困ることはないのだから有難い。
ちょうど宴会の準備が整ったと同時に、悠真がやけにめかしこんだ格好で帰ってきた。
しかも、普段のポーカーフェイスからは想像もできない緊張具合だ。
「おかえり。成人おめでとう。……って、どうしたの? 街で何かあった? 欲しかったものも手に入ったの?」
悠真は仕切り直しと言わんばかりにコホンと咳払いを一つつく。
「敏也、今日、ようやく俺も成人できた」
「うん、おめでとう。これでお酒でも何でもできるね」
「だから……」
「うん」
「これを…………」
「僕に?」
前世ではお決まりの愛の証が、小さなベルベット箱に入っていた。
「指輪?」
「そう。この日のために、錬金のおじさんに加工を頼んでいた。俺もようやく成人になって、自分でケジメもつけられるようになった」
「僕と結婚してくれるの?」
悠真が深々と頷く。
「結婚したい。して欲しい」
この二年、恋人期間としても十分に過ごしてきたけれど、名目上は敏也が保護者のようなもの。
甘さ半分、責任も半分。お互いにどこか対等ではなかった部分がある。
それにいくら元同級生だろうと、この年齢差に背徳感がなくはない。
「もちろん、喜んで。僕の愛しく大切な人」
Happy wedding! おしまい
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