オマケ追加『二人と愉快な仲間たち ~愛のエッグプラント~』

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オマケ追加『二人と愉快な仲間たち ~愛のエッグプラント~』

 有難いことに「スローライフ生活の様子を」とおっしゃっていただきましたので、SSでtryしてみました。  少し敏也たちの様子を覗いていって下さい。 ************ 時系列:13章以降 視点:敏也 ************ 『二人と愉快な仲間たち ~愛のエッグプラント~』  敏也と悠真が遅れて畑に到着すると、早朝から収穫に来ていた農作班の魔獣たちが喜々として敏也を呼び寄せる。  悠真はその様子を見て妬いたのか、少しムッとして口元をへの字に歪める。 「敏也、敏也~~。これを見て、見て。すごい実ができた!」 「赤い新種の実!」 「この前のアラクネの接ぎ木から、面白い実がなったんだよ~~」  魔獣たちが誇らしげにエッグプラント( なす )に似た楕円の赤い実を敏也に差し出す。 (なんか実からモヤモヤとオーラみたいなものが出てる……)  どう見ても毒々しい。しかも、得てして品種改良をしたのではなく、全くの偶然の産物だ。  先日、カマキリ魔獣のカマキリスに畑周辺の草刈りを頼んだところ、たまたまその近くの茂みに潜んでいた毒蜘蛛魔獣アラクネの一匹の首を誤って草と一緒にはねてしまった。  アラクネといえば、敏也が異世界に来て直ぐに仲間になった魔獣の一つで、大人の嗜好品”愛の密薬”の素となる粘液を分泌する、取り扱いに注意のいるやや厄介な魔獣だ。  その一大事を見た魔獣たちが仲間思いに、こぞってない知恵を振り絞って、アラクネを助けようとした。  その結果、アラクネの胴体の上にその日に植えようと思っていたエッグプラントをのせ、それを固定するためにスライムが巻き付き三、四日。見事な接ぎ木作物、もとい新種の複合魔獣に進化を遂げたのだ。  もちろん、敏也のステイタスも即座に反応を示し、新たに珍魔獣としてテイムし直された。  その珍魔獣”アラスラナス”が、今朝になってこの毒々しい赤い実をたわわにつけたようだ。 「うん、すごいね。で、これをどうしたら良いの? 農作物として市場に持っていけば良いの?」  そうはいうものの、これを(しょく)して大丈夫なものだろうか。なんせ三分の二は魔獣でできた作物から産出されたものだ。  しかも、そのうちの一体はアラクネ。果実からフェロモンみたいな、得体のしれないオーラがモヤモヤと出ているのも気掛かりだ。 「まずは敏也に食べてもらいたい」 「うんうん、折角俺たちが作ったんだもん。食べてもらいたい」 「食べて、食べて」  仲間を救った誉れもあれば、懸命に世話した誇りもある。口々に敏也にせがむ。  何より当のアラスラナスが敏也に食べてほしそうな顔をしている。 「うっ……」  これを食べて、とてもタダでは済まないような気がする。  そうでなくともアラクネの分泌液にまみれて、体の芯が熱くなり、湧き上がってくるどうしようもない劣情に身を持て余した経験のある敏也だ。あの強烈な出来事を思えば、腹下しや得体のしれぬものを口にする心配以上に躊躇(ためら)われる。 「いや、でも……」 「食べて、褒めて、敏也~~!!」 「うっ……」  無垢な表情で敏也を見つめる魔獣たちに押し負けて、赤い実を手にする。  すると、悠真がそれをすごい勢いで横からかっさらった。 「敏也、そんな得体のしれないものを、安易に口にするな」 「う、うん……。だけど…………」 「そりゃ、俺もコイツらの気持ちが分からないことはない。だから、コイツらがどうしても食べてみて欲しいというなら、まずは俺が毒味してみる!」 「えぇっ、悠真がっ!!」
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