ウミガメの涙

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 翌朝、アディーノはさっそくカルロスを浜辺へ連れて行った。昨日一生懸命拾った分のゴミは、一晩で補充されている。 「……じゃあ、手伝ってくれるかい?」  アディーノは肩をすくめた。手伝うと言っても自分の作業が楽になるわけではない。 「このペットボトルを全て拾えばよいのだな?」  カルロスが確認する。 「うん、そうなんだ。でも一個一個拾っていくのは結構大変なんだよ。さあ頑張ろっか」  気合を入れてアディーノがかがみ込むと、カルロスからジャキーンという音が聞こえてきた。見ると左腕が盛り上がり、肘の辺りにいくつか空洞ができている。  その空洞から勢いよく空気が噴出されたかと思うと、一瞬のうちにジャッとひと塊になって、ペットボトルが左腕いっぱいに吸い付いてきた。 「すまないが、ごみ袋を広げてもらえるかな」  アディーノは口を開け、手に取ったペットボトルを取り落とした。 「どうやったの!?」  アディーノは羨望の眼差しでカルロスを見つめた。 「私は海岸清掃用に設計されている。対象によって吸引力を調整することができる。今はペットボトルモードで吸引した」  この調子で収集は捗り、アディーノはあっという間に手持ちの袋を切らしてしまった。 「でも、これだけ集めちゃうと運ぶのが大変だよ」  アディーノはかつて一人でこれだけのゴミを拾ったことがない。これからリヤカーまで何往復もしなければと思うと気が遠くなった。 「任せたまえ」  するとカルロスは一気に袋を3つ抱え込み、リヤカーに向かって走り出した。そのスピードたるや、砂浜に深い足跡を残すほど重いはずなのにヒョウのように速い。アディーノは次々に往復するカルロスを呆然と眺めていた。 「私は最速、時速100キロで走ることができる」  彼はいつもの何倍もの量の仕事をいとも楽々と終えてしまった。
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