契約は少し強引に

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(どうせ恋人どころか男っ気もありませんよ……)  親からはなんとなく探りを入れられている。友人たちは二年前に結婚ラッシュを迎えた。  焦らないと言えば嘘になるけれど、今はアキくんを売り出すので忙しい。  まさに『仕事に生きる女』という状態だ。  今はもう、それのなにが悪いと開き直ることにしている。 (別にいいじゃない? 夢中になれることがなんにもないより、仕事に打ち込んでる方がずっと有意義だし)  誰に向けているのかわからない言い訳を心の中でつぶやいたとき、廊下の奥から歓声のようなものが聞こえた。  そちらにはスタジオがある。 (なんだろう)  まだ、アキくんと打ち合わせをするまでには時間があった。  気になってスタジオへ向かってみる。 「どうかしたんですか?」
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