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けれど、残れるだけの腕があるのはわかる。
天才というものは本当に存在するのだ――と私も思ったのだから。
初めて見たのは、とあるモデルの写真だった。
結婚式場の広告で、ウェディングドレスに身を包んだモデルがこちらを見て笑っている――というよくあるもの。
私が息を呑んだのはそのシーンの切り取り方とモデルの表情で。
参列者の姿ないのだから本物の結婚式と見間違いようがない。けれど、空間が既に『幸福』に包まれていた。
モデルもまた、これから結婚する本物の幸せな花嫁にしか見えなかった。
どこにでもある構図だからこそ他との違いが一目瞭然に映る。
目を惹きつけられて、強烈に憧れた。結婚とはいいものなのだと、この式場でこのモデルのように幸せを味わいたいと思ってしまった。
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