契約は少し強引に

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 今まで、徐々に人気は出ても大きな出番のなかったアキくん。  ここであの高橋さんが作る番組に出られるとなれば、一気に知名度が増すだろう。 (……よし)  これはもう帰っている暇ではない。  仕事に生きる女として、なにがなんでもアキくんの未来をつかみ取らねばいけなかった。  ――と、張り切っていたにも関わらず。 「……つまりそれは、『枕営業』というものですか」  話を聞いた私は、聞けずにいたそれをついに尋ねてしまった。 「いやいや、そういうわけじゃないんだよ。ただ、いろいろと便宜を図るにはメリットが欲しいなって話で」 (……タンスの角に小指をぶつければいいのに)  つまるところ、こういうことだった。
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