契約は少し強引に

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 あの日、私はようやく先輩マネージャーの有沢静香(ありさわしずか)さんに認められ、新人のアイドルを任されることになった。  そこまでの道のりは本当に長かった。途中で腐ってなにもかもやめようかと思ったことだってあった。  仕事の出来がだめだったとは今も思っていない。やれることをやった上で、一番必要な運が私についてこなかった。  あるいは、欲しいものを手に入れる貪欲さか。  一番きつかったのは当時サポートしていたアイドルの撮影に同行した際、とある俳優に声をかけられたことだろう。  君の方がアイドルに向いている、口利きしてあげる、だから今夜。  聞いた瞬間に頭が真っ白になった私は外へと飛び出した。  帰ってきたときにはもう、身に覚えのない問題を起こしたことになっていて。
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