契約は少し強引に

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(……本当にここまで長かったな)  しみじみ思いながら、嘆息する。 (きっとアキくんはもっと上を行く。スキャンダルにさえ気を付けてくれればいいけど、意外にそういう話は聞かないし)  こつこつと軽快な足音が、自分の歩みに合わせて反響する。  そう、アキくんにはこういったアイドルにありがちな浮ついた話がない。  言い寄られたという話さえ聞かないのだから、よほどうまくやっているか、まったく話がないかのどちらかなのだろう。  そこまで考えて、以前その話をしたときのことを思い出してしまった。  ――志保ちゃんは? そういう相手、いるの?  無邪気すぎて残酷な、アラサー女に聞いてはならない質問第一位。  今も耳に残るあの明るい声が、じくじくと私の胸をえぐる。
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