8人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「女児の出生率を下げたのです。
戦が男尊女卑を助長するのは世の常ですが、それを引いても彼女達の境遇は目に余るものがありました」
私は頭を抱えた。
青い鳥は逃げてから気付くと言う。
しかし、幾ら何でも極端だろう。
神の常識は分からないが、女児の出生率が下がれば男児の出生率が上がる気がする。
「間違ってたら申し訳ないんですが、戦時中に男女のバランスが崩れたら大事になりません?」
戦争は最も効率的な大量消費だ。
人、物、金、時間、あらゆる物を食い潰し、破壊する。
これに宗教と女の奪い合いまで絡んだら収拾がつかなくなるだろう。
「…………………………………」
「沈黙は肯定と見做しますよ?」
しおしおと頷く女神・イラ。
私はやっぱりと思いながら溜め息を吐いた。
会った時から思っていたが、この人、いや、この女神、かなりおっちょこちょいだ。
努力も遣やる気も空から回って逆効果になるタイプだ。
悪気はなかっただろうが、これで悪気があったら女神じゃなくて邪神である。
その世界に心から同情する。
「言い方悪いですけど、左遷で済んで御の字じゃないですか?
普通クビだと思います」
私がバッサリと言い捨てた時―
ドオォォォォォォォォォォン!!!!!!
凄まじい轟音が私の鼓膜をブン殴った。
「?!!!」
慌てて両耳を塞ぐ私とあっちゃ~~~と言わんばかりに目元を覆う女神・イラ。
嫌な予感がする。
「ちょっ、これなっ」
「申し訳ありません」
「はっ?」
謝られても困る。
嫌な予感が嫌な確信になるではないか。
「本当に申し訳ありません。
償いと説明は後程必ず」
説明はともかく、償わなきゃいけない事が起きたんかいっ!と突っ込みたかったが、その前に白銀の閃光が私の視界を焼いた。
『っ?!』
思わず目を庇い、
『何っ?!
何なのっ?!!
頭がっ…………』
意識が遠のいている事に気付いた時は後の祭りだった。
最初のコメントを投稿しよう!