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「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」
私は悲鳴を上げながら空を突っ切っている。
上を向けば青い空、右を向いても青い空、左を向いても青い空、下を向けば…………、広い森。
まるでスカイダイビング(パラシュートがないのであの世に着地するだろうが)だ。
「あんのクソ女神、覚えてろっ!!
次会ったらタダじゃ置かない!
髪毟って焼べてやるぅぅぅぅぅ!!!!」
私が女神・イラ改めクソ女神を罵り倒した時-
【クソ女神はないでしょう】
頭の中でクソ女神の声がした。
「なっ、アンタどっから」
私は慌てて首をキョロキョロと動かし、近くに誰もいない事を確認する。
【時間がないので、重要な事だけ伝えます。
そこは地球の三つ下の世界、錬金術、煉丹術、魔術が発達した星です。
貨幣価値は国によって若干違いますが、1クプラ百円、1ケセフ千円、1オール一万円が基本なので、これさえ覚えておけば問題ありません】
「どうでもいいっ!
果てしなくどうでもいいから、今すぐ助けてぇ!!!」
私は全力で暴れながら怒鳴った。
まだ話し続けるならブッ殺す!と密かに決意する。
【落ち着いて下さい。
私がいるのですから、余程の事がない限り死にません】
「余程の事?!
パラシュートなしのスカイダイビングが余程の事じゃないと?!」
誰でもいい、罵詈雑言を吐き散らさなかった私を褒めてくれ。
【大丈夫ですから、落ち着いて下さい】
「落ち着けっかっ!!
こちとら命かかってんのよ?!」
【私の力で体を覆っていますから、 何があっても無傷です】
「あのねぇ、私は一般人なのっ!
分かる?
ふ・つ・う・の・に・ん・げ・ん・な・のっ!
アンタらの万国ビックリショーに巻き込むんじゃっ、わっ、わわわわっ」
一般人の何たるかを懇切丁寧に説明してやろうと力んだら体が右に傾き、その弾みで視線が下がる。
「ひっ、ちょっ、地面っ!!」
全身から冷や汗が吹き出した。
【あらあら、大丈夫ですか?】
『大丈夫じゃねぇよ!!!
この駄女神っ!!
クソ女神っ!!
アホ女神っ!!
無責任女神ぃぃぃ!!』
罵声が喉まで出たが、それをグッと堪えて体勢を直す。
「はぁ~~~~」
二度と見たくない景色である。
私がスカイダイビングをする事は当分、いや、一生ないだろう。
だが、ホッとしたのも束の間、私の足元に大きな亀裂が走り、そこから白銀の光が漏れる。
「はっ?!
何っ?!」
【逃げなさいっ!】
「えっ?」
【早くっ!】
逃げろと言われても、この状況でどうしろと?
「でもっ」
【死んでもいいの?!】
クソ女神の徒ならぬ様子が伝わり、私は焦ってパニックになった。
「へっ?
死ぬ?!
ちょっ、待っ、冗談じゃっ」
両手足をバタつかせる私の視界を白銀の閃光が焼く。
「っ!!!」
「必ず助けますっ!」
私はクソ女神の上擦った声を聞きながら目をギュッと閉じた。
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