第0章 別れは突然に

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 ここは魔族、亜人、そして人間がひしめき合う世界。 精霊と神々の加護ある、この世界で唯一の大陸テラメーリタ、人間の国・北東に位置するアルビオン王国と亜人の国・南東に位置するウルグス共和国の境に位置する温暖な地で、俺レグルスは生まれた。 人間の国の勇者だった父さん、フォルティスは俺が生まれる2年前、後にグラヴィオール大戦と呼ばれる戦いで魔族の国・北西に位置するインユリア国の魔族と一部の亜人を従える魔王レモラを倒し、平和な世界を取り戻した。 人間の国王は貴族の一員にならないかとか、亜人の国では共和国の首相にならないかと散々誘われたそうだが全て断り、人間の世界と亜人の世界の境目に位置する片田舎の平民としてのんびり暮らすことを選んだ。 一度聞いてみたことがある。 衣食住全く不自由なく暮らせる場所を選ばなかった理由だ。 自由気ままで友人を大事にする父さんは言った。 「物が豊かであっても権力があっても、自由な生活だと言えないことがある。 どちらかの国に定住すればなおさらだ。 亜人も人間も家に来てくれたら楽しいだろ? 何より穏やかで気兼ねしなくて良い場所、それが父さんにとって何より大切だ。」 と言っていた。 子供のころの俺には前半部分はよく分からなかったが、後半部分の友人を大切していることは感じ取れた。
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