第0章 別れは突然に

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まだ幼かった俺は世界を知らなかった。 10才になったらいろんな場所へ旅をしよう、今までに行った場所や行ったことのない場所も、勇者ではなく今度は冒険者として旅をしようと。 父さんと約束していたんだ。 忘れもしない旅立ちの日の早朝、10才の誕生日プレゼントは短剣だった。 柄には光の精霊を呼び出しやすくする効果のある、乳白色の精霊秘石が埋め込まれていると言われた。 父さんは俺に少しだけ剣術と光の精霊魔法を教えていた。 獣から自分の身を守り、夜でも松明の代わりになるからと。 今でも俺にとっては宝物であり、そして形見になった。
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