放課後、僕は彼女に殺される。(1)

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 真琴の言葉に、体をビクッとさせながら、唾を呑み込む岳。  そんな彼を優しく抱きしめながら、その耳元で吐息を吹きかけるように、彼女は尋ねかける。 「怖い?」  最接近した彼女の顔を未だに直視できない彼は、目を瞑りながら小さく首を横に振った。 「うそつき」  彼の体は震えており、すぐに嘘だと見抜かれた。  好きな人と付き合える上に、今まさに抱きしめられている。彼にとって、この上ない幸せな状況のはずなのに、冷汗が滝のように流れてくる。  尋常じゃない汗の量に、彼女を不快にさせていないかと、岳は心配する。その瞬間、不気味な音が鳴り響いた。  ぐちゃ。
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