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その音は、体の中から聞こえた気がした。そして、昨日もこれと全く同じ音を、彼は聞いていた。
腹部に激痛が走るとともに、彼は周りの机や椅子を巻き込みながら、仰向けに倒れこむ。机と椅子はガラガラと、不快な音を奏でた。
「あ……」
倒れゆく最中に、彼の目に映った彼女の手には、血の付いたナイフが握られていた。
真琴は、そのナイフで以って岳の腹部を刺したのだった。
――だから、これから……
白いカッターシャツに血が滲み、床に広がっていく光景を見下ろしながら、彼女は嗤う。
段々と血の気が引いていく顔を、彼女は見つめていた。
これから何度もこうなることを承知の上で、彼は彼女の行為を受け入れた。
分かっていたのにも拘らず、この様で、この事象に慣れていくとは思えず、それはこれからも変わらない。
岳が真琴と付き合う為には、死ぬことが絶対だった。
何故なら、告白を受け入れる条件が、彼女に殺されることだったのだから。
――放課後、僕は彼女に殺される。
真琴に腹部をナイフで刺されたことが原因となって、岳は絶命した。
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