25人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
新たな使い魔を生み出して幾日も過ぎたが、俺は未だに彼の名前を知らない。
ナスターへしているように、奴に向けて意識を研ぎ澄ませれば済むだけのことだというのは分かっている。
しかし初日に感じたわだかまりのせいで、俺は彼に対してそういうことが全く出来ない状態になっていた。
今日は昼寝をしたから大丈夫だと言って、俺の傍を離れないパティスとともに、久々に夜の森へ散歩に出かけた。
そうしながら、俺がすぐ横を歩くパティスを盗み見ずにはいられないのは、気持ちがざわついているせいだろう。
木々の合間を縫うように、十六夜の月光が降り注いでくる。
こういう時の常と言わんばかりに、使い魔たちには屋敷で留守番をさせていた。
だから傍目には夜のデートと言ったところなんだが、そんな甘い空気を味わえるほど俺の心は穏やかじゃなかった。
「ね、ブレイズ。彼のことを作り出したこと、後悔してるんじゃない?」
そんな俺の心中を察したのだろうか。
何の前触れもなくパティスがそう問い掛けてきた。
最初のコメントを投稿しよう!