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「ソレイユにしたんだな、使い魔の名前」
それで、パティスの告白を全てすっ飛ばしてそんなことを言ったら、腰に回された彼女の手がふっと緩んだ。
「……うん、そう。ソレイユにしたの。太陽って意味らしいわ」
「太陽……」
パティスの言葉を復唱しながら、俺は何ともパティスらしい名付けだなと思っていた。
犬型使い魔のナスターは夜の星、「Night star」からの連想だとパティスから聞かされたのを懐かしく思い出す。
ナスターに名前をつけたとき、パティスはほんの少女だったけれど、今は立派な大人の女性だ。
そうなっても本質は何も変わらないのだと思えたことが、何だかんだ切ないくらいに嬉しかった。
「パティスらしい名付けだな」
素直に思ったままを口にしたら、パティスが俺の前に回り込んできて、淡く微笑んだ。
「あの子は昼間にしか一緒にいないって決めたから……だからソレイユ」
そうしてそう告げると、俺の手をギュッと握ってくきて。
「私、夜はブレイズと一緒にいたい」
ナスターはお喋りができない犬だから、ブレイズと一緒にいる時、そばに居てくれても構わないけれど、ソレイユは話せるからダメ、とパティスが言った。
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