パティスの提案

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 満月の晩、煌々(こうこう)と降り注ぐ月光を浴びて嬉しそうにスカートのすそを(ひるがえ)し歩くパティス。  そんな彼女の後に付き従いながら、俺は思わず問うていた。 「そんなに嬉しいか?」  と――。  聞かなくても彼女がこの上なく上機嫌なのは分かるのに、言わずにいられない俺は恐らくバカなんだろう。 「もちろん!」  それでもパティスはそんな俺にふぅわりとした満面の笑みを投げてくれた。 「……便利、だよな」  実際、そう思う。  今まで必要がなかったから思いつきもしなかったけれど、パティスにそう提案されたとき、俺は本当に目からうろこだったのだ。
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