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あれは、確か外がしっとりと雨に濡れそぼつしめやかな夜だった。
日数に換算すれば半月ばかり前のことだったと記憶している。
生み出した瞬間から、俺の使い魔というよりすっかりパティスの飼い犬となってしまったナスターを撫でながら、唐突にパティスが言った。
「ねぇブレイズ。ナスターってね、本当は元々紙だったなんて思えない出来じゃない?」
撫でれば毛並みだって生きている犬のそれだし、勿論返ってくる反応だってそう。
体温が、生きている犬のように温かくない、というのはあるけれども――。
水に濡れるのを苦痛と感じる俺が、出かけるのを断念して大人しく居間のソファで本を読んでいた時だった。
俺の足元に敷かれたラグの上にナスターとともに座っていたパティスが、ふと思いついたように口を開いたのだ。
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