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パティスから手渡された人型の折り紙を受け取ると、俺はわざと彼女に背を向けるようにしてそれに息を吹き込んだ。
頭の中に思い浮かべるのは、俺より背が低くて明らかに見劣りのする男。
彼女が俺との擬似デートを想定して人型の使い魔を所望したことは、その口調から何となく解っていた。
パティスが、常日頃からナスター相手に俺と普通の恋人同士のように街を歩いてみたい、と漏らしていたことも知っている。
実際、彼女は知らないだろうが、ナスターと俺とは深層の部分で繋がっているのだ。
意識すれば、ナスターが見聞きしたことが、俺には手に取るように解る。
そんなパティスの願いに気付かない振りをして、女の使い魔を創り出す事も、もちろん可能ではあった。
だが、そこまでしたら意地悪が過ぎるだろう。
それに、彼女は先程俺に「買い出しのお共に」使い魔が欲しいと明言したのだ。
非力な女性型より、力がある――ように見える――男性型を望んでいることはその言葉からも推測できた。
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