現実

1/1
前へ
/7ページ
次へ

現実

中学生になった少女。 少女には優しい兄がいる。 兄は声優になると言い、 高校卒業後、家を出た。 時々帰ってくる兄。 夢が現実になるといいなと少女は思った。 この時はまだ小説家の夢を持っていた。 けれど、小説家や声優はとても不安定な職業だと知った。 兄は声優になる夢を追いかけながら働いていた。とても大変そうだった。 夢を追いかけるその姿に少女は 憧れと 言葉にできない複雑な気持ちを持った。 少女には他にもかわいい弟がいる。 現実をみると、 弟の進路を広げられるようにと考えるなら 少女が就職し、安定した職についた方が 親を安心させることが出きる。 “いざというときに力に なれるかもしれない。” そう思ったら、 兄のように夢を追いかける考えはなくなった ………それでも、書くのだけはやめられなかった。どうしても。 人の物語を読むたびに いろんな気持ちが芽生える。 人の物語は一瞬で永遠。 結末は様々あれど その後の物語は幾重にも広がっている。 人生も幾重にも広がっている。 選択した道を、未来を夢見ながら 今日も少女は、物語を紡ぐ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加