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現実
中学生になった少女。
少女には優しい兄がいる。
兄は声優になると言い、
高校卒業後、家を出た。
時々帰ってくる兄。
夢が現実になるといいなと少女は思った。
この時はまだ小説家の夢を持っていた。
けれど、小説家や声優はとても不安定な職業だと知った。
兄は声優になる夢を追いかけながら働いていた。とても大変そうだった。
夢を追いかけるその姿に少女は
憧れと
言葉にできない複雑な気持ちを持った。
少女には他にもかわいい弟がいる。
現実をみると、
弟の進路を広げられるようにと考えるなら
少女が就職し、安定した職についた方が
親を安心させることが出きる。
“いざというときに力に
なれるかもしれない。”
そう思ったら、
兄のように夢を追いかける考えはなくなった
………それでも、書くのだけはやめられなかった。どうしても。
人の物語を読むたびに
いろんな気持ちが芽生える。
人の物語は一瞬で永遠。
結末は様々あれど
その後の物語は幾重にも広がっている。
人生も幾重にも広がっている。
選択した道を、未来を夢見ながら
今日も少女は、物語を紡ぐ。
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