4人が本棚に入れています
本棚に追加
リトライノート
「『リトライノート』の使い方は簡単だ。リトライする内容、目的、リトライ!の3つを記述するだけだ。リトライすべき時点に意識がタイムリープする。」
「へぇ」
俺はいつもの設定だろうと思い、手渡されたノートに記述する。
『朝寝坊回避、遅刻しない為、リトライ!』
すると空間が歪む感覚がした。
「サーバントよ!目覚めよ!」
「マジ?」
俺は動揺しながらも理解する。
「ヤバイぞ!遅刻だ!」
遅刻を回避することに成功した俺は『リトライノート』を見て思った。
「これを使えば赤点回避できるんじゃないか?」
試験後に回答を確認し、試験前にタイムリープすれば赤点回避程度の点数を確保できる。あやから件のノートを借りて学校に向かった。
「おはよう、角田さん。」
彼女は天才的頭脳の持ち主だ。腰まで伸びる艶やかな黒髪が特徴的である彼女は赤ぶち眼鏡を触り意地悪な笑みを浮かべる。
「あら、おはよう。珍しいわね。小野君から声をかけてくるなんて。」
「俺、そんなにフレンドリーじゃなかった?」
「そう思っていたわよ。」
「おいおい・・・」
「ふふ、ごめんなさい。」
色白で陶器のように美しい肌色の彼女は清潔感があり男女問わず見惚れてしまう。彼女の隣の席になった俺は幸運だ。
「角田さん、お願いがあるのだけど?」
「やっぱり下心あるじゃない?何?」
「後で試験の答え合わせしない?」
「あら別に構わないわよ。放課後に勉強していく?」
「それも良いね!けど、試験直後も答え合わせしたいな。記憶が新しいうちに。」
「了解!」
彼女にカンニングの片棒を担がせてしまうことに心は痛んだが、背に腹はかえられない。俺は彼女の頭脳と『リトライノート』で赤点を回避してみせる!
試験は国数英理社の主要5科目だ。
「試験始めるぞ、席につけ。」
国語教師の聖先生が入ってきた。
「じゃ、試験を始めてください。」
最初のコメントを投稿しよう!