34人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
◇◇◇
雨谷さんとお別れして10日ほど。その日の日差しは特に眩しく、風はすがすがしく、夏の匂いが漂っていた。授業中、珍しくニヤがベランダを伝って窓際にある僕の席までやってきた。
「アマガイが消滅した」
それだけ言ってニヤはトコトコと去っていった。
そうか、と僕は思う。
雨谷さんは、少しでも幸せに眠れただろうか。最後に会ったとき、雨谷さんはとても満足した表情をしていたと思う。これでよかったのかどうかはわからないけど、僕が解放した怪異の1つが消滅した。
紅林邸の秘密の部屋で眠る、絵と雨谷さんのことが思い浮かんだ。
今週末にでも、紅林邸にお墓参りに行こうかなと思う。ナナオさんも誘って。
最初のコメントを投稿しよう!