2 無人島

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 時刻は、正午を過ぎた。二日目の無人島は、今朝の恐怖が、嘘だったかのように、穏やかさを取り戻していた。  朝から、寝床を充実させる作業をしていたが、そろそろ空腹を感じ始めた。少し面倒だが、森に入ってラズベリーを採取しにいくとしよう。  ここで、頭をよぎるのが、今朝の出来事だ。あのとき、現れたゾンビは森へと姿を消していたのだった。もしかしたら、あのゾンビが、森の中を歩き回っているかもしれない。そう思うと、森へと伸びかけていた足が止まる。  しかし、俺がこの島にいる以上、あのゾンビは確実に脅威となる。誰にも頼ることができないこの状況では、最終的に向き合わなくてはいけなくなる。  リュックを背負った俺は、ナイフを手に取り、森への進行を開始した。  それなら、向き合うタイミングが早いか、遅いかだけの違いに過ぎない。つまり、面倒なことは先に終わらせる性格の俺は、今解決に向かうというわけだ。  ナイフ一本に、自分の命がかかっていると思うと、不安を感じずにはいられないが、俺に選択肢は残されていなかった。  森を進むと、昨日気づかなかったのが不思議なくらいの腐臭に襲われた。これは、あいつがここを通ったことによるものなのか、どうかはわからないが、足跡らしきものが残っているのを見ると、その可能性が高そうだ。  植物にも、得体の知れない液体が付着している箇所が存在し、あれが夢でないことは即座に証明された。  どうやら、この液体がこの臭いの元らしい。赤と言うには、あまりにも毒々しく、黒ずんだそれは、気持ちが悪いと表現するのが適切とすら思える。
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