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「俺は辛いんだ…それが全て…俺の為だと言うんだから・・・」
神戸さんは必死に堪えていた。
その均衡が崩れ、彼の切れ長の瞳からは大粒の涙が溢れる。
「浩明・・・」
「…俺は俺なりに…母さんを亡くした後、一人になった父さんを支え、父さんの期待に添えるよう仕事のキャリアを積んだ…明斗さんが亡き後…竣斗も居なくなった…俺がこの会社を継ぐんだ。継がなければいけないんだとずっと思っていた。
でも、田代社長は竣斗を呼び寄せた…」
「・・・浩明お前…」
「・・・二人が事故死したのはもう十三年前の話だ……父さんが法廷で罪を裁かれるコトはない。…俺の為に明斗さんと瑠莉さんの人生は海の藻屑になってしまった・・・」
「・・・」
「長瀬には関係のないコトだ…でも、瑠莉さんに似ているお前に言われたら…一番辛い…だから…何も言わないでくれ」
神戸さんは泣きながら訴え、項垂れた。
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